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天空光
2024.11.27
固定概念から解放された間取りづくり
こんにちは。
株式会社シエロホームの鈴木です。
静岡県三島市や長泉町の子育て世代のご家庭に「家づくりの考え方」をブログでお伝えしております。
ぜひ最後までお読みいただき、家づくりのご参考にしていただければと思います。
「部屋は南向きであるべきだ」と思っていらっしゃる方、多いと思います。(私も以前はそうでした)
この、「部屋は南向きであるべきだ」という固定概念に縛られていると、土地がよほど広くない限り(80坪以上ぐらいの感覚でしょうか)
必然的に2階建ての家を建てざるを得なくなります。
たとえ、その土地が平屋を建てるに充分な広さがあるとしても、です。(50坪〜60坪ぐらいの感覚です)
南に家が建っている土地で、1階につくる部屋の中に安定的に光を届けるためには、充分な距離を確保する必要があるからです。
結果、余分に出来た土地にも工事を施さないといけなくなり、その分、外構工事費用が高くなります。
プライバシーや景観を守るために目隠しや、植栽、フェンスなどの工事も確実に必要となるので、
建築コストのアップに繋がることが考えられます。
一方で、直射光だけではなく、空気中の塵や水蒸気などで乱反射した光である「天空光」を使うことを前提として間取りを考えれば、
これまで平屋なんて絶対に無理だと考えていた土地にも、平屋を建てることが出来るようになります。
直射光だけに頼らず、天空光を活用出来れば、南に建つお家との間に採光のために距離を開ける必要がなくなるからです。
例えば、間口12m×奥行き15mの北向き約55坪の土地には、2階建ての家しか建たないと考えられがちです。
通常採光確保のために必要だと考えられていたスペースにも家が建てられるとしたら、実は普通に4人家族が
充分ゆったり暮らすことが出来る平屋のお家を建てることが出来ます。
それも「空が見える明るく広々としたリビングダイニングキッチンに、それぞれの部屋と充分過ぎるぐらいの収納があり、
室内干しが出来るほどゆったりとした自然光がたっぷりと差し込む脱衣スペースがある平屋」を、です。
55坪の土地に建つ平屋とは?
この土地で設計する場合、リビングダイニングキッチンは南ではなくあえて北に配置します。
北に配置すれば必然的に南に建つ家との間に充分な距離が生まれるからです。
そしてリビングダイニングキッチンの南側に外スペースをつくります。
過ごす時間が圧倒的に長いリビングダイニングキッチンに直射光をふんだんに取り入れるためです。
これがいわゆる「中庭」と呼ばれるスペースなのですが、「中庭」をつくることによって家の中心から光を採ることが出来、
家全体に満遍なく光が届けやすくなります。
「中庭」をつくれば、南に建つ家からだけじゃなく、東に建つ家からも、そして西に建つ家からも、
充分な距離を保つことが出来るからです。
また、敷地の南に配置した部屋には南から光は入らないものの、「中庭」に面する北に窓をつくれば天空光と南の壁に
反射した光が家の中に入ってくるため、直射光に比べて安定した採光が確保出来ます。
天空光は眩しくないことからとっても過ごしやすい空間をつくることが出来ます。
以上のような理由から、外周面に採光のための大きな窓をつくる必要がなくなるというわけですね。
言い換えると外周面は風を通すだけの小窓だけで充分だということになります。
結果、周りから家の中を見られる心配がいらなくなり、そのためのカーテンがいらなくなるし、
家族のプライバシーがしっかりと確保出来ます。
かつ、「中庭」には台風時に直風が当たらないことから、何かが飛んできた時に備えてシャッターをつける必要もなくなります。
得られる数々のメリット
このように固定概念に縛られず、土地に合わせて間取りをつくることが出来れば、今も今後もずっと住みやすい平屋を
手に入れやすくなると同時に、平屋の懸念点であるプライバシー性と防犯性の低さをスッキリ解消することも出来ます。
また、耐震面でも重心が低い平屋を建てれば、地震や台風の強風の影響も受けにくくなり、今後ずっと安心して暮らしやすくなります。
さらに、土地の日当たりを気にする必要もなくなることから、土地の予算を落とすことが出来ると同時に
日当たりで諦めていた土地なども候補地として検討しやすくなります。
無駄に広い土地を買う必要もなくなることから、さらに土地代を抑えることも出来るし、土地面積が小さくなれば
外構工事費用も抑えられますしね。
プライバシーを担保し防犯性を高めるための塀や植栽、目隠しといった工事も全くと言っていい程いらなくなると思います。
というわけで、弊社では土地の周辺環境を加味した上で要望をしっかりと精査すべきだし、
その上で間取りをつくるべきであると考えています。
ただ、平屋を建てるとなると、少しばかりコストアップしてしまうし、土地が持つ問題の解決手段が「中庭」であるとしたら、
施工面積が増えることからさらにコストアップしてしまうので、次回は「コストを上げずに平屋を建てるために
知っておいていただきたいこと」についてお伝えしていきたいと思います。
それでは、次回もお待ちしております。